ゴミ屋敷を片付ける

ゴミ屋敷をどうやって片付けていくか。客観的にはゴミ屋敷に見えたとしても、 これは宝の山です、と言うセルフ・ネグレクトの高齢者は本当に多いです。そのような人に片付けを勧めるのは簡単ではありません。 まずは、きっかけづくりから手をつけてます。いきなり部屋のすべてを片付けることは考えない方が良いです。 生活のほとんどを過ごす部屋の、特に使用頻度の高いスペースを片付けて過ごしやすくすることから始めるようです。 必要な物がすぐとれるようにしましょうなどと話して、一緒に1つずつ確認しながら、捨てる物と捨てない物に分けていきます。 決して家族や職員が勝手に判断して捨てたりしないことがポイントです。 最初の段階で、あくまでも本人に判断してもらうことを徹底することで、片づけることへの安心感が生まれます。
セルフ・ネグレクトの高齢者は変化を嫌います。必要以上の物に囲まれて生活していますが、それによって安心感もあるのです。 そのため、物が一気に捨てられてしまうことによって不安を与えてしまうことになります。 ここからが重要なのですが、捨ててよいと本人が判断したからといって、すぐに捨てないことです。 実は後になってやっぱりあれは必要だったということも多いのです。そのときに、捨ててしまっていると、戻してあげることができません。 一度決断してしまうと、取り返しのつかないことになると思うと、その後の片付けが消極的になり、進まなくなります。 捨てる物を分けては置きますが、すぐにゴミとして処分してしまうのではなく、しばらく様子をみて本当に必要がないことが再度確認できたら、捨てるようにします。
最初にこの慎重なプロセスを踏むことで、安心して片づけることや物を処分することができるようになり、その後はスムーズに作業が進むことが多いです。 例えば、この部屋はあなたに任せますとか、入院している間に片付けておいてなどと、信頼されてしまえば、その後の片付けは一気に進みます。
ただ、ゴミ屋敷の人たちは一時的に改善しても、いつの間にもとに戻ってしまう傾向にあります。 ゴミ屋敷に住んでいる人は、変わった人というイメージがあるかもしれませんが、決してそのような人ばかりではないのです。 社会の中で孤立している人たち、支援の手を差し伸べても拒否する人たちが、孤独死などして悲しい最期を迎えることがないように、早期に発見して対応できる仕組みをつくることが大切です。