ゴミ屋敷と法律

ゴミが本当にゴミなのか、財産なのかは、相対的な問題ですので、その線引きは難しいです。 そうした理由から、公権力(行政)が強制的にゴミを撤去する仕組みというのは、なかなか難しいものです。 また、仮に行政が強制的にゴミを撤去できるとして、どうして税金で、他人の家の掃除をしなければならないのかという疑問が生じる可能性があります。 この辺りのバランスをどう考えるかはなかなか難しい問題ではないでしょうか。 大阪市では、このような事態に対して、2013年に条例を制定するためのパブリック・コメント(意見公募)を行いました。 本来は、ゴミ屋敷対策法を国会で定めてもらえると動きやすいのですが、法律の不備があるからといって地域行政が、ゴミ屋敷問題を放置しておくわけにはいきません。 そういう意味で、大阪市のゴミ屋敷に対する条例制定の動きは、おそまきながらよい動きと言えるのではないでしょうか。

ゴミ屋敷と廃棄物処理法

そもそもゴミであるという認定ですら、本人がゴミではない財産だと主張すれば、誰も反論できないという難しさは残っていますが、 仮にゴミである、廃棄物であると認定されたとしても、ゴミ屋敷に住んでいる人が、大切にため込んでいるだけだと主張したら、 廃棄物処理法上の不法投棄や不法投棄を目的とした収集・運搬には該当しません。さらに、一般廃棄物処理基準に適合しない処分とも言うことができません。 つまり、廃棄物処理法に基づいたゴミ屋敷に対する問題解決は困難なのです。

ゴミ屋敷と道路交通法

ゴミ屋敷をめぐるトラブルが近年、全国各地で発生し、周辺住民や自治体などを巻き込んで社会問題化している中で、 2013年7月、奈良県でゴミ屋敷の所有者が逮捕される事件が起きました。 63歳無職の女性は、5年ほど前から、自宅前の道路も含めてゴミ屋敷化したため、奈良県警は異例ではあるが、道路法違反の疑いで逮捕を行いました。 しかし、女性が釈放された後もそのゴミ屋敷は、ゴミに埋もれたままです。逮捕では、ゴミ屋敷は解決できないといえます。

ゴミ屋敷と成年後見制度

ゴミ屋敷の所有者は、自分の財産を管理できなくなっているケースもあるので、ゴミ屋敷の所有者の人に成年被後見人になってもらい、 家庭裁判所が選任する後見人がゴミ屋敷の所有者に代わって生活環境を整えたというケースもあります。こういう解決方法もあります。 ただ、本人の意思の尊重という観点が、成年後見業務についてまわる悩みではあります。