プライド維持型

プライド維持型のゴミ屋敷を作る人は、ライフスタイルの変更を余儀なくされる状況がありながら、それまでの生活パターンを変更することができないタイプです。 お金がないのに、これまでの買い物癖を変えることができず、ぜいたく品を購入してしまったりします。

□裕福な独身生活が、ゴミ屋敷になったケース

バブルの頃は、小売業でうまく仕事の波に乗り、ぜいたくな暮らしをしていましたが、バブルの崩壊とともに、少しずつ商売がうまくいかなくなりました。 その一方で、バブル期のぜいたくな暮らしはそのままで、有名なデパートで買い掛けで買い物をしたり、海外から高額な物をわざわざ取り寄せたりしていたため、 多額の借金ができてしまったのです。
もともと小売商だったので、家の中にも商売の品物がたくさん置いてあったのですが、商売がうまくいかなくなり、 商品が売れ残るようになると、家の中まで物で埋まってしまいました。 しかし、身の回りにしかスペースがない状態になるまで、数年かかっていたため、本人もさほど違和感や大変さを実感することはありませんでした。
このケースの場合は、幸い親戚がいたので、地域包括支援センターに相談がありましたが、もし親族がいない場合、このような事例はそのまま地域に残り、 やがて近隣からも悪臭の苦情が出るようになります。しかし、難しいのは、ゴミの山を片付けても、泥棒呼ばわりされたりするため、簡単には行動に移せないのが現実です。
他人にはゴミの山のように見えても、本人には長い年月の間に集めた「宝の山」であったり、「財産」であったりします。 必ず本人に話をして、了解を得てから片づけることはもちろんですが、一度納得したとしても、認知症や記憶力の低下などにより、状況が変化する可能性はあります。 他人からゴミと思われるものでも、何度でも繰り返し確認しながら進めることが必要です。

このケースのように、ゴミ屋敷を作ってしまう人の多くは、資産家、元資産家であることも少なくありません。そして、その多くは高齢で独身です。 独身の理由は、死別、離婚、もともと独身など様々です。周りに知人友人がおらず、また親類縁者とも疎遠であるので、地域から孤立しているケースが多いです。